ロコアテープを剝がした後の対応

ロコアⓇテープとは主成分エスフルルビプロフェンが40mg含有された1日1回貼付の変形性関節炎用の貼り薬です。エスフルルビプロフェンはフルルビプロフェン(アドフィードⓇ)の光学異性体のS体で活性本体です。もともと皮膚吸収の良い成分ですが、基剤を工夫してより皮膚吸収を良くした製品になっています。

使用上の注意には「本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること」というただし書きがあります。

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ただ都道府県によっては「本剤と鎮痛消炎剤(アセトアミノフェンも含む)や同系統の貼り薬の併用は、風邪薬を除いて査定対象となる」ため「ロコアテープを使用していた人が定期的な鎮痛薬の内服薬に切り替えるには、テープを剝がした後、どのくらい時間を空けて内服鎮痛薬を飲めばよいのでしょうか?」という質問が、ある薬局薬剤師さんからありました。

事前にその薬剤師さんはメーカーに確認していたのですが、その回答は「実際、貼付中も頓用で服用するのは問題ないが、厳密に影響を避けるのであれば、2日間は間隔を空けることになる」でした。今回は、この回答の検証というわけです。

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①メーカー回答の裏付け検証

ロコアⓇテープのインタビューフォームから、エスフルルビプロフェン40mgの貼付を剝がした後の血中濃度半減期は、単回投与時は8.6時間、7日間連続投与後は7.2時間でした。この数値を基に検討していきます。

(1)本剤はCOX(シクロオキシゲナーゼ)の競合阻害剤であり、薬理作用は血中濃度と比例すると考えてよい薬剤でしょう。

(2)従って、本剤を剝がしたときから4~5半減期を経過すると血中濃度は元の6.3~3%となり、臨床的には薬効がないレベルと考えられます。

(3)ここでは、安全策をとって半減期の長い方の8.6時間で検討すると、8.6時間×4~5半減期=34.4~43時間=1.4~1.8日となります。

つまり、大体2日経過すると血中濃度がほぼゼロでかつ薬効もないと考えることができます。

→これが「厳密に影響を避けるのであれば2日空ける」というメーカーの回答根拠になっていると思われます。

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②さらに突っ込んで考えてみましょう

(1)2日経過して血中濃度がゼロになると、患者さんには痛みが発生してくるはずで、それもゼロになる前には痛みが発生しているはずですから、患者さんのQOL(生活の質)を考えると経口薬の開始は2日経過前にすべきと考えられます。

(2)本剤の投与量と薬物動態の関係では以下のように、1日40mgと80mgの7日間連続投与後のCmaxとAUC0−∞の平均値を比較すると線形性※注)が認められました。

(3)インタビューフォームの臨床治験における用量設定試験結果を見ます。そこでは40mg群の他に、10mg群、20mg群も試験をしており、その結果が表3(痛みの軽減度)のようになっていました。

[表3]第Ⅱ相用量設定試験

この結果からは10mg群および20mg群では『基剤群』と有意な差が見られないことが分かります(95%信頼区間が0をまたいでいる点やp値が0.05以上の点)。

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(4)本剤は(2)から線形性の薬でしたので、20mg投与時は40mg投与時の半分の血中濃度になるはずです。従って40mg投与時で剝離後、血中濃度が半分になる1半減期経過後(8.6時間)では有効な血中濃度に達していない可能性が高くなります(つまり痛みが出てもおかしくない)。

③理論上の結論は…

ロコアⓇテープを剝離後、約9時間で鎮痛効果はなくなる(図7)。

[図7]血中濃度−効果の相関イメージ図
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④では、剝離後、どれくらい経過したら鎮痛薬を飲めばよいのだろうか?

これまでの検討から「12時間(半日)経過すれば、定期服用可能とする。それまでに痛みがあれば頓用対応する」という提案をしました。

半日たてば、貼り薬の成分は元の量の38%以下になり、その後も減少する一方なので、定期薬を始めても副作用発生の可能性は無視できそうです。

⑤まとめ

薬の効果がいつまで残っているかという例でした。薬を切り替えるには前の薬の効果がいつまで残っているかを考えるのが大切ですが、その効果がなくなってから次の薬を使うのはツライときがありますよというお話でした。

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