ヨガの呼吸法…「大小便を済ませ空腹時に行なう」ことが重要
もくじ
〔丹田完全呼吸法の心身に及ぼす生理学〕
④プロスタグランジンI2が産出されて、血圧正常化と老化防止になる
肺の左右2つに3億個の肺胞があります。
この肺胞の周囲には毛細血管が付着していて、空気を吸い込むと肺胞が開き、毛細血管を通して空気中からの酸素が血流に供給されると共に、血中の炭酸ガスが空気中に放出されます。
そのとき、肺胞の壁からプロスタグランジンI2(生理活性物質)が産出されます。
このプロスタグランジンI2は血流をよくしたり、活性酸素の毒を消してくれる働きがあるので老化防止、また血栓を防いでくれるので、
動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞を防ぐ作用や、アドレナリン、ノルアドレナリンの分泌を抑えて、血管を拡張させ、血圧を正常化する作用があります。
⑤深い呼吸法は平常心を創り、うつやPTSDの改善になる
丹田呼吸法を続けていると副交感神経系で働く神経伝達物質セロトニン神経が活性化され、副交感神経が優位になります。
セロトニンはストレスに関係する神経に働き、不安や恐怖心、怒りを抑え、また逆に嬉しさから舞い上がり過ぎないようにするため、平常心を保つのに役立ちます。
何かの刺激に対して不安や恐怖、怒りにつながる反応をする神経をノルアドレナリン神経(脳幹の橋より出ている)と呼び、逆に何かの刺激に対して喜んだり、
興奮して舞い上がる反応をする神経をドーパミン神経(脳幹の中脳よりで出ている)と呼びます。
私たちの心の変化に関する神経は他にもありますが、おおざっぱに言うとノルアドレナリン神経とドーパミン神経の働きの変化が喜怒哀楽を作っているのです。
しかし、これが激しすぎると物事をうまく処理できなくなるので、ノルアドレナリン神経とドーパミン神経を適度に抑えるためにセロトニン神経(脳幹の中にある縫線核の神経)が存在します。
丹田完全呼吸法によりセロトニン神経が活性化することによって平常心が維持できるのはこのためです。
逆にセロトニン神経の働きが悪くなった人は、パニックに陥りやすかったり、キレやすく、さらに症状がひどいとうつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になりやすくなります。
⑥深い呼吸は空気中のプラーナも大いに吸収できる
ヨガでは、人間が生きていられるのは、プラーナという人間を生かすエネルギー(宇宙エネルギー)が宇宙に働いているからだと説かれています。
プラーナは太陽光、雲、風、地などに充満し、人間は空気や食物、水、太陽光などから吸収することで、生かされているといわれます。
数年間、ほとんど食事を摂らず、プラーナだけで生きているオーストラリア人のジャスムヒーンさんの研究によりますと、
人間は進化すると食事なしでプラーナだけで生きていくことが可能だということです。
深い呼吸は進化のための大切な条件となります。
⑦深い呼吸は潜在意識のフタを開き、真我と結ばれる
〔呼吸法を行なうための注意点〕
①大小便を済ませ、空腹時に行ないます。
②背骨が真っ直ぐに保てる座法をとることが大切です。
③座法は椅子、安定座法、半跏趺座、寝ている姿勢、または歩きながらなど、自分の好みの姿勢でOKです。
両手はひざの上におき、手の平をひざ、あるいは太腿に向けておき上体を支えます。
④クムバク(呼吸を止める)は気持ちのよい程度に止めます。
⑤空気の綺麗な場所で行なうようにしてください。
〔丹田完全呼吸法のやり方(松尾式)〕
丹田完全呼吸法は丹田力を高める方法の手段の一つで、下腹部を動かし、肛門をぎゅっと締め、鎖骨まで空気を入れるので上肺部、中肺部、下肺部まで空気が入る深い完全呼吸法です。
①まず下腹部をへこませながら、絞り切るほど、吐いていきますと、肛門が少しずつ締まり、やや体内に入ってくる感じがします。
そこで肛門をぎゅっと締め、一瞬、呼吸を止め(生理的クムバク)次に下腹のみ前に出し、
②そこから吸う呼吸で空気を入れて下腹部をふくらませ、やや胸を前に出して鎖骨まで息を吸っていきます。次に自然な生理的クムバクをし(止める時間は自由)、
③息を吐きながら、下腹部を絞り切り、肛門をぎゅっと締めます。
このとき吐く呼吸を3の長さ、吸う呼吸を1の長さで行ないます。クムバクの長さは自由で、自然的、もしくは苦しくない程度呼吸を止めます。
慣れてくると、1の長さを少しずつ長くしていけるので、より深い呼吸ができるようになり、丹田力が強化されます。
〔笑いは短い丹田呼吸法と同じ効果である理由〕
笑うと下腹部を大いに動かすので、吐く呼吸が深くなり、副交感神経を刺激して、自律神経力を高め、丹田力の強化になります。
つまり、笑いヨガは、短い丹田呼吸法なのです。
また、笑いヨガでは、身体は作り笑いと本物の笑いの区別がつかず、どちらの笑いでも、心身的に同じ効果が得られるという、
科学的根拠があります。沖聖師は「笑いヨガ」を大いに取り入れていらっしゃいました。
著者松尾ひろ子が行なっている太陽ヨガは、皆さんに、楽しく深い呼吸になって頂くために、沖ヨガの笑いヨガとインドのDr.カタリアが考案した「笑いヨガ」も取り入れております。