認知症治療薬ですが 3種類の それぞれの 特徴を教えてください
もくじ
重大な副作用から見える薬の性質:認知症治療薬
認知症治療薬とされていますが、正確には認知症の進行を遅らせる薬になります。現在2系統4成分があります。1系統目は3種類のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、2系統目がグルタミン酸受容体のNMDA受容体阻害薬です。ここでは同じ作用機序である3種類のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の重大な副作用を比較することにします。
脳神経の変性による脳内アセチルコリン分泌量の減少が認知機能に影響を与えるため、なるべくアセチルコリン量を減らさないようにしようとアセチルコリンの分解酵素を阻害する薬が利用されています。現在の認知機能を半年から恐らく1年程度延長する効果が期待できるとされています。それぞれの薬剤の特徴を下記に示しておきます。
1.ドネペジル(アリセプトⓇ:内服薬)
軽度から重度に適応あり。アセチルコリンエステラーゼの阻害作用。1日1回3mgから開始、1~2週間かけて1日5mgまで増量する。重症例には1日10mgまで増量できる。3mgでは臨床効果が期待できないとされてきましたが、最近では医師の裁量で低用量でも維持療法が可能になってきているようです。維持量までの観察期間は1~2週間。
2.ガランタミン(レミニールⓇ:内服薬)
軽度から中等度までの適応あり。アセチルコリンエステラーゼの阻害作用のほか、シナプス前後にあるアセチルコリン受容体に結合してアロステリックな効果によりアセチルコリンの親和性を高める作用がある。1日8mg分2から開始し、4週間後に1日16mgに増量して維持量とする。さらに4週間後1日24mgまで増量維持することも可能。維持量までの観察期間は4週間。
3.リバスチグミン(イクセロンⓇパッチ/リバスタッチⓇパッチ:貼り薬)
軽度から中等度までの適応あり。脳内のアセチルコリンエステラーゼ阻害作用に加えて、病状の進行に伴い脳内でも増加してくるブチリルコリンエステラーゼも阻害する。1回4.5mgを1日1回貼付から開始し、4週間ごとに4.5mgずつ増量し1日18mgを維持量とする。維持量までの観察期間は12週間。
各薬剤がどのような重大な副作用(●)を持っているかをまとめると図表のようになります(2018年2月時点のデータ)。△はその他の副作用です。
以上の結果をまとめますと、以下のようになります。
・重大な副作用(アレルギー型を含みます)が多いほど薬理作用も強いと単純に考えますと、
ドネペジル(27個)>リバスチグミン(17個)>ガランタミン(7個)
となり、薬理作用の強さは上の順になると考えられます。
・それぞれの薬の臨床効果の強さを適応症の相違からみると、
重度までのドネペジル>中等度までのリバスチグミンとガランタミン
実際の臨床効果の強さも上の順になると考えてよさそうです。臨床効果がほぼ同程度と考えられるリバスチグミンとガランタミンですが、なぜ、重大な副作用の数に差が見られるのでしょうか。次に部位別に重大な副作用の特徴を見ていきましょう。
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