パニック障害:5年前からのパニック障害を克服したい (25歳/女性)
現れた発作を悪者扱いしないことが大切です。
予期しない衝撃的な出来事に遭遇すると、誰しもパニックにおちいります。しかし、パニック障害は、これといった出来事がないのに、パニック発作が起こる病気です。発作の現れ方はさまざまで、突然胸がドキドキしたり、息苦しくなったり、めまいがして立っていられなくなったりします。
パニック発作は満員電車やエレベーターなど狭い空間で生じやすいのですが、いつ、どこで発作が起こるかは本人にも予想がつきません。そのため、「また発作が起こるのではないか」「起こったらどうしよう」という不安や恐怖がつのり、外出できなくなることもあります。このような心理状態を予期不安といい、発作と共にパニック障害特有の症状です。
パニック発作が起こったときの状況を相談された方に聞いてみると、精神的なストレスを抱えていた、疲れていた、睡眠不足だったという答えが圧倒的です。また、風邪をひいていたという人も少なくありません。パニック障害の原因は不明とされていますが、こうした答えから、持続的なストレスによる自律神経の乱れが発作の引き金になっていると考えられます。
もくじ
パニック発作は危機回避のための反応
もちろん、ストレスを抱えている人すべてが発作を起こすわけではありません。パニック発作は、動物に備わった危険から身を守る反応です。発作を起こす人というのは、危険を察知する感受性が強く、危機を回避する能力が高い人ではないかと私は考えています。
体が起こす反応は、たとえそれがつらいものであっても、生命を維持するうえで理にかなったものです。発作を悪者扱いせず、冷静に対処することが大切です。
動悸がしたり息が苦しくなると、
「また発作がきた。どうしよう」「死ぬかもしれない」「大変だ!」とパニックになり、これを繰り返すことで不安や恐怖が増幅していき、さらに発作が重くなるという悪循環の世界に入っていきます。
パニック障害から脱却するには、発作が起こっていないときに、次のように自分に言い聞かせることが大切です。
・ パニック発作は身を守るための反応であり、よい反応だ
・ 発作がつらいのは、身を守る反応が強く出過ぎているからだ。つらいけれど、これはプラスの反応なんだ
以上のように、発作を肯定的に受けとめられるようになると、
しだいに発作の程度が弱くなったり、時間が短くなったりして苦にならなくなります。不安や恐怖がやわらいでいくと、おのずと発作も起こりにくくなっていきます。
発作が起こったときの状況を振り返って、特定の場所や空間の雰囲気、狭さ、広さなどが影響しているようであれば、原因を避けるのもよい方法です。また、発作が落ち着いてきたら、時間をかけてその状況に慣れるというのも一つの方策です。
原因がわからないまま発作が起こったときは、
「つらい! でもこれは悪い反応じゃない」と、繰り返し言い聞かせてください。
発作を予防するには、ストレスを遠ざけることがいちばん大切です。睡眠をしっかりとり、体操や入浴で体を温めてください。つわりで9㎏やせたということですが、これは妊娠に適した体重として、体が求めているのではないでしょうか。
やせたこともプラスの反応と受けとめ、気持ちを穏やかにもって養生していくと、元気が出てきて体力も回復していきます。