もくじ
糖尿病:血糖値が安定せず不安な日々を過ごしています (40代/女性/主婦)
ストレスに耐えるため血糖が上昇します。頑張り過ぎにも注意しましょう。
養生に完璧主義はいらない
食事に気をつけ、体を動かしてエネルギーの摂取量を調節し、薬を服用する。
一見理にかなった治療に思えますが、現実には「血糖値が下がらない」「コントロールできない」「薬をやめると血糖値が上がってしまう」と
嘆く患者さんが少なくありません。なぜでしょう?
その理由は、ストレスによる自律神経の乱れが糖尿病を引き起こしているという
重要な視点が、治療に組み込まれていないからです。
糖尿病は典型的なストレス病です。
ストレスは交感神経を刺激して、カテコールアミン群、
つまりノルアドレナリン、アドレナリンなどの分泌を促します。
これらは肝臓に蓄積されているグリコーゲンの分解を促して、
ブドウ糖の生成を促進します。ゆえにストレス状態が長期におよぶと、
血糖が上昇します。
交感神経が緊張すると副交感神経の働きが抑えられ、
体の分泌能が低下してインスリンの分泌が抑制されます。
また、交感神経の緊張は顆粒球の増加を招き、活性酸素の産生量を増大させます。
活性酸素はインスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島を障害して、
インスリンの分泌能を低下させると共に、
血中のブドウ糖と反応して組織に炎症を起こします。
これによって、動脈硬化などの血管の病気、神経障害、腎臓の機能低下、
肝機能障害など、さまざまな合併症が生じます。
ストレスが血糖値を上昇させることは医学の常識ですが、
ストレスがここまで深刻な健康被害を与えているとは認識されていません。
それゆえ、患者さんの生き方からストレスを取り除くための
指導が行われていないのが現状です。
血糖値がときとして不安定になるのは、
「ストレスから楽になりましょう」という指導がなされないまま
治療を続けていることに問題があるようです。
あなたは何事にもまじめに取り組む方ではないでしょうか。
一度決めた目標は絶対に達成しなくてはと考え、食事制限を守り、
大好きな晩酌も控え、運動もしっかり続けてきました。
頑張ることが悪いとはいいませんが、いき過ぎれば
ストレスになって交感神経を緊張させ、血糖値の上昇を招きます。
養生に完璧主義はいらないのです。
頑張り過ぎる心は、知らず知らずのうちにストレスをためていきます。
血糖値が上がったら「また頑張り過ぎているみたいだ」と気づくだけでも、
交感神経の過緊張を防ぐことができます。
白血球の分画を調べると自律神経のバランスをチェックすることができるので、
半年に1度くらい調べてみるのもいいことです。
かかりつけ医には、「薬をやめたい」という希望を率直に伝え、
相談してみてはいかがでしょうか。薬は対症療法で、
根本的治療にはなっていません。
生活の中で副交感神経を刺激する工夫を続けていけば、
インスリンの分泌能も高まり薬に頼らずにすみます。
具体的には、リラックスする時間をできるだけ増やすことです。
お笑い番組を見るもよし、お風呂にゆったり浸かるのもよし、
友だちと長電話するのもよし。ただし、そこでまた頑張らないように。