もくじ
帯状疱疹治療の基本は免疫力回復に力を注ぐことになります
帯状疱疹とは水痘ウイルス、つまり、水ぼうそうのウイルスの再活性化で起こる疾患。水ぼうそうには、多くの人は子供の頃に感染し、抗体ができて治ってしまう。正確には治るのではなく、ウイルスは知覚神経の中に入り込んで移動し、奥深い神経節でじっと眠っている。
この小水疱の出る4、5日前から神経が障害されるので、多くの場合、痛みやピリピリした痒みを自覚する。痛みの度合いは人によって異なるが、頭痛のひどさから脳腫瘍を疑って脳神経外科へ行く人もいる。痛みの出る場所によっては耳の聞こえが悪くなったり、顔面神経麻痺になることもある。
軽症の場合は、毎年健診を受けていれば、まずは問題ないと思われる。
放っておいても約1カ月で自然に治るが、これは決してよいことではない。自然治癒にまかせた場合、3カ月もすると「帯状疱疹後神経痛」といわれる後遺症に悩まされる可能性が高くなるからである。そのリスクを極力低くするためには、帯状疱疹の発疹が出て3日以内に治療を開始すべきである。
治療法は薬物療法。抗ウイルス薬の塩酸バラシクロビル(商品名・バルトレックス)の経口薬が多く用いられる。この場合、1日3回、8時間おきに1週間服用する。有効性が高い療法である。
また外用薬は抗菌外用薬を用いて、皮膚の潰瘍やびらんをそれ以上悪化させないようにする。このほか、不眠には睡眠薬、顔面に出たときは早くから眼科、耳鼻咽喉科と協力して治療を行う。
だが、最も良いのは、入院施設のある病院であれば、1週間程度入院して治療を行うことである。抗ウイルス薬の点滴静注(静脈注射)、そして、安静を保つことが免疫力の低下をよりスムーズに改善してくれるからである。
食生活のワンポイント
帯状疱疹は免疫力の低下が原因なので、何か原因疾患があるときはそれを治療する必要があるが、基本は免疫力回復に力を注ぐことになる。
食生活ではバランスが肝心だが、より免疫力の回復を早めるには、「ラクトフェリン」「β―グルカン」「セレン」などを、より積極的に採るべきである。
●ラクトフェリン
母乳中に多く含まれて、免疫力アップに働くのがタンパク質のラクトフェリン。母乳以外にも、哺乳動物のミルクには多く含まれているので、牛乳をしっかりと飲むようにする。また、赤ちゃん用の粉ミルクにはラクトフェリン入りが多いので、それを飲むのも良い。
●β―グルカン
糖質とタンパク質が結合した多糖類の1種がβ―グルカンで、きのこ類に多く含まれている。まいたけ、えのきだけ、干し椎茸などに多い。
●セレン
セレニウムといわれるミネラルのひとつがセレン。免疫機能向上に強力に働く。カキ、タラ、イワシといった魚介類のほか、ゴマ、ニンニク、アスパラ、トマトなどに多く含まれている。