なぜ現代日本人はこんなにもこころの病にかかってしまうのか。
時代が変われば個性になる? 医学博士が見た、日本人を苛むこころの病。
「正式な病名がついて、救われました。」「病はあなたのせいじゃない。」
依存症の治療は、対象となる物質や行為を断つところから始まりますが、それによってこころが不安定になりイライラがつのり、暴れてしまう人もいます。
そうしたなかでボクシングのように、ルールにもとづいて思いきりパンチを繰り出せるスポーツは格好のストレス発散になります。
ほかにも、囲碁将棋、麻雀、ヨガ、ストレッチ、ダンス、よさこい、エイサー、空手、フットサル、卓球、ナイトウォーク、朗読、ビデオ観賞、クッキング、陶芸、手芸、書道、カラオケ、コーラスなど、さまざまなプログラムが用意されています。
こうした活動はクリニック外部の人たちにも披露する機会があります。
たとえば、年間行事としては、3月の芸術文化祭、5月の大運動会、8月の盆踊り大会、11月にはバザー(模擬店)、12月のクリスマス会など。ほかにも地域のお祭りやイベントにも積極的に参加して、練習の成果を見てもらっています。
ともすれば、こころの病のために社会とのつながりが失われていた人たちにとって、自分のがんばりを他人に認めてもらい、楽しんでもらったり感動してもらったりすること、その反応を直接感じとれる機会は、なによりのモチベーションになります。
このように、デイナイトケアに通う人たちは、毎日規則正しい生活をし、栄養バランスのとれた食事をとり、真剣に病気と向き合い、興味のあることやチャレンジしたいことを年齢や性別をこえた仲間たちと取り組み、充実した時間を過ごしています。
デイナイトケアに通っているあいだは、多くの人たちが依存の対象から離れられます。それに頼らなくてもいいくらいに、やるべきこと/やりたいことがあるからです。
もちろん、それは“忘れている”のであって“断ちきれた”ことにはなりません。ですが、依存から離れている日々を積み重ねていくことでしか、真の回復が望めないこともまた事実なのです。
こころの病を抱えた人たちに、ここまで時間をかけて向き合うことは、外来のクリニックでは不可能です。精神病院(入院施設)であれば強制的に依存を断ちきる環境は作れますが、退院してなお“断ちつづける”ことができるかは疑問です。
これが、私が「依存から回復するにはデイナイトケアでなければならない」と考える理由です。
WWW.QOO10.JP